春先のある日、トマトの苗10株を菜園に植えた(定植)のですが、翌日しおれて全滅でした。
ガッカリして肩を落としたのは言うまでもありません。  その原因は?・・・・

春先の植えつける時期(定植といいます)に気をつけなければならない点はいくつかあります。
以下の3点について考えてみましょう。

(1) 酸性土壌の中和法  = 石灰分の使い方
(2) 生ゴミ堆肥の利用法 
(3) 時空間対応法     = 自然を見方にする


(1) 酸性土壌の中和法  = 石灰分の使い方

石灰分の使い方によっては、苗を全滅さす事になりかねない場合があります。日本の場合、ほとんどが酸性土壌の為、石灰分によって中和さす方法が一般的です。
それでも、なぜ石灰を散布しないとダメなのでしょうか?
土質がペーハー(PH)4〜5の酸性の場合やPH6〜8というアルカリ性の場合、いくら肥料をたくさん与えても、植物自体チッソ・リン酸、他の養分の吸収が悪くなって生育できなくなります。
この為、アルカリ性物質(PH8〜10)を用いて中和、(PH5.5〜6.5)さす方法をとります。つまり肥料の吸収を高める、良くするためです。
また、作物によってジャガイモ等酸性(PH5〜5.4)を好むものには石灰を与えないこと。逆にホウレンソウやセロリ、アスパラガスのようにアルカリ性(PH6.9〜8)を好む作物には、たっぷり石灰分を与える事が必要になります。
(野菜に適する酸度、参考資料はこちら

さて、そこでどんな石灰分が良いのでしょうか?
各栽培法によって石灰分の使用物がちがいます。

◎化学肥料(や、化成肥料)や農薬を使用する現行農法では、消化石や苦土石灰等、もとは石油系のものを使用しています。
この場合、春先一番先にあたえるのがこの石灰です。
しかし、この石灰を用いる場合少し注意が必要となります。
石灰を散布すると、地中と空中に有寒ガスが発生したす。このガスで土の中の微生物を半減(死滅)させると共に、作物の苗が近くにあれば、ガスで死んでしまうことになります。
ですから石灰を用いる場合は必ず期間を空けて肥料及び後の定植をしなければなりません。
今回、最初の佐藤さんの例は、この石灰を散布して、すぐ苗を植えたのが原因のひとつといえます。

◎次に私達の無農薬有機栽培では絶対に上記のような石灰はつかいません。
土の微生物を殺すようなやり方は持続可能な通年豊作が出来ないからです。 
それでは何を使えば良いのでしょうか?
この15年間の実証栽培で、効果を上げているのが、
草木灰です。
樹の皮や草木類を焼いた灰が一番よいのです。
吸収が良く、一緒に有機肥料や堆肥等と使用しても、一切寒がありません。また、ミネラル分も豊富にふくんでおり、土中の微生物のエサにもなり、作物のミネラル分の補給に役立ちます。

(草木灰の詳しい説明はこちらへ)

さらに、2〜3年に一度、貝化石を散布するのも良いです。
たま有機石灰といって、ホタテをくだいた物がありますが、私はあまり使いません。毎年土に入れていくと残留物が多くなり、肥料と合わせて塩類集積(過多)の害ともなりかねないからです。


(2) 生ゴミ堆肥の利用法

次に家庭から搬出される生ゴミも、堆肥にして「土つくり」の循環に加えましょう。
そこで、この「生ゴミ堆肥」の利用のしかたで、大きく栽培に影響されることになります。
「生ゴミ堆肥」の利用において、次の原則を守れば成功です。


腐った物は作物の近くに投入しないこと
必ず発酵させた堆肥を穴肥すること

よく、せっかく作った「生ゴミ堆肥」を畑の土の上にバラまいている方がいますが、これでは腐らせ、虫を呼び込む原因となります。
必ず20〜30cm穴を掘って埋めることがコツです。
また「生ゴミ堆肥」は年間通じた作り方とその利用法がありますので、これをうまく運用していくことで地力アップしていきます。

(詳しくはこちらへ)

表土に軽く混ぜるには、腐葉土やバーク堆肥等完熟堆肥を用いましょう。完熟堆肥には長い月日をかけて、分解が進んだ堆肥の事です。
未熟な生の物が入った堆肥は、悪影響の元になりますから注意が必要です。

(3 時空間対応法  = 自然を見方にする

ちょっと聞きなれない言葉で申し訳ありませんが、この時空間対応法とは難しいことはありません。
つまり外気温や地温、霜や雨、雪、風、光等天候の変化に留意し、自然を見方にするという事です。

昨年(H18)札幌を例にとると、雪どけがおそくて5月の連休に定植した方は、霜と寒さで大半がやられてしまいました。
5月中以降再度、新しい苗に植え替えたという人が多かったのです。
このように外気温や地温が最低10℃以上を見計らって定植することが大事です。
低温が続くようでしたら、苗ボウシやポリ袋、またはマルチで外気対策をしてあげると良いでしょう。
特に低温に弱いナスビ等は最低温度15℃以上が理想的と言われていますので、ポリ袋で囲ってあげることが必要です。

以上、この3点に留意して、春先に望むとよいでしょう。

さて、最後に「私の土つくり」で実践している方法を紹介します。

土の層充足方
これは私が実践している個人的な事としてことわっておきます。
土を表土と心土と主に2層に分けて「土つくり」をする方法です。
表土は好気性微生物(光合成細菌等)の増殖をうながす方策をとります。(特に春先重点作業)心土はけん気性微生物の増殖を図るような方策で年間土つくり計画を立て実践します。
秋の収穫後のお礼肥から、冬の雪の下での「土つくり」と春先にかけての作業方法です。
これは「土つくり秋処理」「土つくり春処理」として別紙を参照して下さい。


春は表土つくりの時期
酸素が多い表土で活発化の好気性菌。
冬は地温が高い地下へもぐる嫌気性菌。
「結果」
◎土が立体的に豊かになる
◎菌の増殖・生命循環
◎低酸化レベルアップ